石清水八幡宮

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八幡の昔ばなし「岩田帯」

昔な、岩田は綿の産地じゃった。
まっ白い綿の花がそこら一面に咲いて、なんともいえん高貴さが漂い、それはそれは美しい風景じゃった。
ふわっとして花びらが風に揺れると、まるで純白の衣をまとった乙女が風に舞っているようで思わず足をとめて見とれたものじゃ。
皆一生懸命働いて遊んどる暇などなかったから、夕暮れになると、もうくたくたじゃった。柔らかな温かい綿畑に埋もれて一休みしていると疲れがいっぺんに取れて何かいいことがあるみたいで、ぽかーんと空を見上げては夢を追いかけたもんじゃ。
秋になると、いよいよ綿の刈り取りが始まってのー、どこの家も活気に満ちて猫の手も借りたいほどの忙しさじゃった。
ちょうどあれは抜けるように済みきった秋晴れの昼下がりじゃったかのう。何処のお方かは知らぬが、その身なりといい、お供の方々の様子といい、ずいぶん高貴な女の方と察せられたが、綿みたいにまっ白で、とてもきれいなお方じゃった。都から下られる途中じゃったのか、沢山の供を従えてこの岩田を通りなされた。
その時、身ごもっておられたんじゃなあ。急に産気づかれて、一行のあわてふためきようというたら大変なものじゃった。右往左往して、気も動転してか何やらわめき騒いでおる。気をきかした村の者たちが近くの小屋をあけて、上等の綿を敷き詰め、ともかくそこへ寝かせたんじゃ。なにせこの頃のお産は悪くすると命を落とす人も多かったんで、供の者も村の人もはらはらしながら小屋の外で見守っておった。その時間の何と長う感じたことか。やがてあたりの静けさを破って、元気な赤子の産声がかん高く聞こえてきた。
皆はほっとして小屋の中へ入ってみると、皆の心配をよそに女の方は元気ににこにこして大そう嬉しそうじゃった。珍しいほどの安産だったんじゃ。一行はしばらく滞在しておったが、女の方が歩けるようになると、村の人たちに厚く礼をいって里へと旅立って行かれた。
こんなことがあってから、岩田では、その目出たい縁起をかついで、取れた綿をつむいで布を織り、その布に年齢と名前を書いて、厄除に、お宮さんの鈴に結わえてたらすようになった。また身ごもった人が五ヶ月になると、その布をもらい受けて、安産にあやかれるようしっかりとお腹に巻いたということじゃ。
毎年正月になると、鈴のたれ布を新しい布に掛けかえるのじゃが、村中の人が厄除に、新しい布に年齢と名前を書いて、お宮さんに供えるということじゃ。
これが今日でいう、岩田帯の起こりじゃそうな。


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